障害福祉の「常勤換算」とは?計算方法から迷いやすいポイントまで解説

運営・実地指導

障害福祉サービスの運営において、避けて通れないのが「常勤換算(じょうきんかんざん)」の計算です。

「週32時間? 40時間? うちの基準はどれ?」
「サビ管の兼務はどう計算する?」

など、実務で頭を悩ませている管理者や事務担当者の方も多いのではないでしょうか。

常勤換算は、間違えると「人員基準違反」とみなされ、最悪の場合は給付費の返還(自主返還)や行政処分に繋がる非常に重要なポイントです。

この記事では、つまずきやすいポイントを整理しながら、誰でも迷わず計算できるようステップ形式でわかりやすく解説します。

そもそも「常勤換算」とは?

常勤換算とは、
「その事業所の全スタッフの労働力を、もし常勤(フルタイム)の職員に換算したら何人分になるか」
を数値化したものです。

例えば、週40時間働く「常勤の職員」が基準の事業所において、週20時間働くパートスタッフが2名いた場合、その2人を合わせると「常勤1人分(常勤換算:1.0)」としてカウントできます。

計算の基本公式は以下の通りです。

💡 ポイント

「週」単位で計算することが指定権者(自治体)から求められる場合もあります。その場合は、分母・分子ともに「1週間の時間数」に置き換えて計算します。

計算を始める前に!絶対に確認すべき「2つのルール」

計算を始める前に、まずは以下の2点を確認しましょう。
ここを間違えると、その後の計算がすべてズレてしまいます。

① 自社の「常勤の定義(週の労働時間)」は何時間?

事業所の就業規則や雇用契約書で定めている「常勤職員の所定労働時間(週何時間勤務か)」を確認します(例:週40時間、週35時間など)。

ただし、障害福祉サービスには「原則として週32時間を下回ることはできない」というルールがあります。
もし就業規則で「常勤は週30時間」と定めていたとしても、常勤換算の計算上は「分母は32時間」として計算しなければならないため注意してください。

② 「勤務延べ時間数」に含めていい時間・ダメな時間

実際にスタッフが働いた時間以外に、以下のような時間をどう扱うかで迷うことがあります。

  • 有給休暇・特別休暇・出張
    • 常勤職員の場合: 原則として、有給や出張中も「勤務した(換算に含めてよい)」とみなされます。
    • 非常勤(パート等)職員の場合: 原則として、「実際に勤務した時間」のみしかカウントできません。有給休暇を取得した時間は計算に含められないのが基本です。
  • 病欠・忌引きなど
    • 欠勤した時間は、常勤・非常勤問わずカウントできません。

※これらは自治体(指定権者)のローカルルールによって「暦月で1か月を超える長期出張の場合は…」など細かな例外が定められていることがあるため、必ず自治体の手引きや問い合わせをして確認しましょう

【具体例】実際に常勤換算を計算してみよう

それでは、具体的なスタッフ構成を例にして計算してみましょう。

【前提条件】

  • 事業所が定める常勤の労働時間:週40時間
  • 対象月:4週間(28日間)とする
  • 常勤の1ヶ月の基準時間数:40時間×4週=160時間

スタッフの勤務状況

  • Aさん(常勤): 月160時間勤務
  • Bさん(パート): 月80時間勤務
  • Cさん(パート): 月60時間勤務

計算ステップ

  1. 全員の勤務時間を合計する
    160時間(Aさん) + 80時間(Bさん) + 60時間(Cさん) = 300時間
  2. 合計時間を常勤の基準時間(160時間)で割る
    300時間÷160時間=1.875
  3. 端数を処理する
    常勤換算は、一般的に「小数点第2位以下を切り捨て」ます。
    1.875→1.8人
  4. したがって、この事業所のこの月の常勤換算は「1.8人」になります。

実務でよくある疑問:「兼務」はどう計算する?

多くの事業所で発生するのが、一人のスタッフが複数の職種を掛け持ちする「兼務」のケースです。

管理者とサービス管理責任者(サビ管)を兼務する場合

例えば、常勤の職員が「管理者」と「サビ管」を兼務している場合、それぞれの常勤換算はどうなるでしょうか?

たとえば兵庫県「障害福祉サービスの人員基準に関するQ&A」では、職員の兼務可能な範囲について、下記のようなルールが記載されています。


管理者については、当該事業所の管理業務に支障がない場合にあっては、次のとおり、他の職務との兼務が認められている。
 ア  サービス管理責任者との兼務で、その者が常勤で常に双方の職を兼務している場合は、それぞれ1人としてカウントできる

 イ  生活支援員との兼務で、生活支援員用務に4時間従事している場合は、管理者1人と、生活支援員4時間分でカウントできる

 ウ  同一法人が運営する他の事業所との管理者についても、兼務可能である。 ただし、2以上の事業所の管理者を兼務し、さらに生活支援員等の職員の業務を兼務することは認められない。

    年休、研修、欠勤の場合の常勤換算方法の取り扱いは?

    上記と同じく兵庫県では

    常勤職員については、暦月で1月間不在の場合はカウントできないが、そうでない場合は、常勤として勤務したものとしてカウントできる。
    非常勤職員については、年休や欠勤の場合、その日(時間)については、常勤換算に含めることはできない。

    兵庫県を例に出しましたが、この常勤換算方法については、指定権者によってもルールが違いますので、兼務できる職種、時間数など、確認する必要があります。

    実地指導(運営指導)で確認されること

    最後に、実地指導で行政の担当者がどこを見ているかをお伝えします。

    行政が最も厳しくチェックするのは、「書類間の整合性」です。

    • 勤務実績表(シフト表)
    • タイムカード(出勤簿)
    • 給与台帳(賃金台帳)
    • 常勤換算の計算シート

    これら4つの書類に記録されている時間がすべて一致している必要があります。

    「シフト表では出勤になっているのに、タイムカードがない」
    「有給を取っているのに、計算シートで勤務時間に入っている」

    といったケアレスミスは非常に見つかりやすいため、毎月の請求業務のタイミングでダブルチェックを行う仕組みを作りましょう。

    各自治体のホームページで「常勤換算表(エクセルシート)」が配布されていることが多いので、「お住まいの自治体名 + 常勤換算シート」で検索してダウンロードすると便利です。
    参考に厚労省が提供している常勤換算シートはこちら→常勤換算計算シート

    まとめ

    常勤換算は一見複雑に見えますが、

    1. 分母(自社の常勤ルール)を正しく把握する
    2. 分子(含めていい時間)を間違えない
    3. シフトとタイムカードを完全に一致させる

    この3つを徹底すれば、決して怖いものではありません。

    もし

    「うちの自治体のこのルールはどうなんだろう?」
    「この兼務パターンはどう計算すればいい?」

    と迷ったときは、自己判断せず、事前に指定権者(自治体)の窓口に問い合わせて文書やメールで回答を残しておくのが最も安全です。

    正しい配置管理を行い、安心して日々の支援に集中できる環境を整えていきましょう。

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