障害福祉サービス事業所を運営していると、

「この場合はどうすればいいのだろう?」
「人員基準はどこを見ればいい?」
「ネットで調べても情報がバラバラ…」
と悩むことはありませんか。
障害福祉サービスには、さまざまな法令や通知があり、何を確認すればよいのか分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
インターネットやAIで調べると、異なる回答が見つかることがあります。
そんなときに大切なのは、「どの法令や通知を根拠としているのか」を確認することです。
この記事では、障害福祉サービスに関係する法令の全体像と、それぞれの役割について分かりやすく解説します。
障害福祉サービスのルールは一つの法律だけではない
「障害者総合支援法を読めばすべて分かる」と思われがちですが、実際にはそうではありません。
障害福祉サービスは、
など、複数のルールによって運営されています。
これらは役割が異なり、確認する目的もそれぞれ異なります。
法令の全体像
まずはじめに、図で今回説明する全体像をご覧ください。

前提として障害福祉サービスのルールは、大きく分けると
「事業所の運営ルール(指定基準)」
「報酬・加算のルール」 の2つに分けられます。
それぞれ確認する法令や通知が異なるため、まずは全体像を理解しておくことが大切です。
障害福祉サービスのルールは、次のような階層になっています。
① 法律(障害者総合支援法)
↓
② 政令(施行令)
↓
③ 省令(施行規則・指定基準省令)
↓
④ 告示(報酬告示など)
↓
⑤ 通知(解釈通知・留意事項通知)
↓
⑥Q&A
↓
⑦都道府県・市町村の通知や手引き
上位の法令ほど制度の基本的なルールを定めており、下位になるほど実務上の運用や具体的な取扱いが示されています。
※なお、「告示」「通知」「Q&A」は、すべてが一直線の上下関係というわけではありません。それぞれ役割が異なり、確認する目的も異なります。
ひとつずつどんな内容か解説していきます。
① 障害者総合支援法
障害福祉制度の基本となる法律です。
例えば、
- 制度の目的
- 障害福祉サービスの種類
- 指定制度
- 利用者負担
- 市町村や都道府県の役割
など、大きな枠組みが定められています。
一方で、「管理者は何人必要か」「相談室は何㎡必要か」といった具体的な基準までは書かれていません。
参考資料 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法) (外部リンク)
② 政令(施行令)
法律を実施するために必要な事項を定めたものです。
障害福祉の実務では直接確認する機会は多くありませんが、法律と省令をつなぐ役割を担っています。
③ 省令(指定基準省令)
実務で最も確認することが多いのが「指定基準省令」です。
正式名称は、
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」
どんな内容が書かれているかはこちらで確認できます。(別サイトへ飛びます)
→「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」
です。
指定基準省令には、
- 人員基準
- 設備基準
- 運営基準
- 保存すべき記録
など、事業所の運営に必要な基準が定められています。
④ 告示(報酬に関するルール)
告示には、報酬や加算に関する内容などが定められています。
例えば、
- 基本報酬
- 各種加算
- 減算
などを確認するときに参照します。
加算を算定する場合は、告示の内容を確認することが欠かせません。
参考資料 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」
「告示」覧
⑤ 通知・留意事項通知
告示や省令だけでは、具体的な運用方法や考え方まで分からないことがあります。
そこで重要になるのが「通知」です。
通知にはさまざまな種類がありますが、障害福祉サービスでは特に次の2つが実務上重要です。
解釈通知
指定基準省令の考え方や運用方法を示したものです。
例えば、
- 人員配置の考え方
- 個別支援計画の作成方法
- 記録の残し方
など、省令だけでは分かりにくい内容を具体的に説明しています。
指定基準省令が「ルール」であるなら、解釈通知は「ルールの取扱説明書」と考えると分かりやすいでしょう。
参考資料 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省)
「通知・事務連絡」覧
留意事項通知
報酬告示の考え方や、加算・減算の具体的な算定方法を示したものです。
例えば、
- 加算を算定するための要件
- 算定時の注意点
- 解釈上のポイント
などが示されています。
報酬告示を確認するときは、留意事項通知もあわせて確認することが重要です。
参考資料 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」
「通知・事務連絡」覧→障害者総合支援法関連通知
⑥ Q&A

法改正や報酬改定の際には、厚生労働省からQ&Aが公表されることがあります。
Q&Aでは、
- 通知だけでは分かりにくい点
- 現場で生じやすい疑問
- 具体的な事例
などが示されており、実務上とても参考になります。
参考資料 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」
「事務連絡」覧→Q&A
⑦都道府県・市町村の通知
指定申請や変更届の様式、提出方法などは、ローカルルールと言われる都道府県や市町村ごとに異なる場合があります。
そのため、法令だけでなく、指定権者が公表している手引きや通知も確認することが大切です。
参考資料 【姫路市】障害福祉指定基準・算定基準問い合わせ一覧
厚労省HPへの該当リンクだけでなく、事業者説明会・集団指導時の資料、様式集などまとまっているページです。姫路市で開設・運営を考えている方は是非目を通しておくべきページです。
法令の順番と、実務で確認する順番は違います
法令には上下関係がありますが、実務では「知りたい内容」によって確認する資料が異なります。
人員基準や設備基準、運営方法について調べたい場合
- 指定基準省令
- 解釈通知
- Q&A
- 自治体の通知・手引き
加算や報酬について調べたい場合
- 報酬告示
- 留意事項通知
- Q&A
- 自治体の通知・手引き
このように、指定基準と報酬では確認する資料が異なります。
つまり、「法令の上下関係」と「実務で確認する順番」は異なるという点を知っておくことが重要です。
法令を読むときのポイント
初めて法令を見ると、「どこから読めばいいのか分からない」と感じるかもしれません。
まずは、
- 指定基準省令
- 解釈通知
- Q&A
この3つを確認する習慣をつけるだけでも、多くの疑問を解決できます。
必要に応じて、障害者総合支援法や報酬告示を確認するとよいでしょう。
まとめ
障害福祉サービスのルールは、一つの法律だけで決まっているわけではありません。
法律・省令・告示・通知には、それぞれ異なる役割があります。
法令の全体像を理解しておくことで、制度への理解が深まり、指定申請や事業所運営にも役立ちます。
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